第九回「perfect」な日々
少し前、母が編み物をしている横で見ていたテレビで映画「PERFECT DAYS」という映画がやたらと評判がいいと特集されていた。
それからしばらくたち、役所広司がとてもいい演技をしているという噂をポツリポツリと聞きつづけ。公開が終わる前にと映画館へと足を運んできた。
早い時間、ゆっくりとした時間、それらを世界とも言い換えることができるが現代は早い時間に生きる人が多いであろうが、でもそことは違うゆっくりとしたところに生きる人がいること映画自体はフィクションでありながらもリアルな演技を持って描いた作品であり、どちらが良いかと説教くさくなるわけでもなく。自分の時間を生きることの良さを見せてくれた映画だった。
東京の下町が舞台で、自分も浅草あたりで専門時代にスナップショットをしていたので見覚えのある風景もあり、その頃を思い出しながら2時間、忙しい時間から切り離されて、ゆっくりと僕は風呂に入っているような心地よい感覚を覚えながら映画を堪能することができた。
今は自分は北海道という東京の下町の雰囲気とはかけ離れた土地にいるが、いろんな人生が地層のように積み重なる下町の雰囲気とそこを撮影した時の感覚は今でも生きていて作品に生きている。
この映画を見て、人生が変わる人もいるだろうな、とふと思った。そう思わせてくれるいい映画だった。僕もまた明日、目覚めるのが楽しみである。