第13回 「新しい日々」
新しい日々が始まった。というのも、7月末に私ごとながら結婚することになり、東川の実家を出て札幌市に転居することとなった。
長年住んでいた実家を出るというのは割と大変なことで、機材やらなんやらを一生懸命運び、新生活で足りないものを買い、お金は飛ぶわ、ゴミも出るわでバタバタであった。
それでも面倒くさがらずこなせてしまうのは新しい日々への期待からくる感情か、新たな出会いや生活に胸躍らされているからかもしれない。
日々、晩ごはん作りに精を出し、掃除をし、新しく届いた洗濯機に感動する。以前よりもより濃く、生活を感じる。
作品作りの方では、今まで取っていた日常の周辺がガラリと変わることになる。
周りが田園だった土地から住宅街に越すわけだし、自分の中でもどんな変化が作品に訪れるのか楽しみであり。不安要素でもある。
新しい日々に合わせ機材なども色々と入れ替えて、新作を制作しようと試みている。
私は意識的に何かを変化させるのが苦手で新作を作れないというのは長年の悩みであった。さらに筆も早い方ではない。そんな私が新作を作ろうというのだからこれは大変なことである。
これから、意識的に周辺を凝視する。そこにある光の声を聞く。
新作でも変わらないものは「ただそこにあるものを淡々と撮る」ということだろう。